ゲームセンターではクレーンゲームやUFOキャッチャーなどのゲーム機を設置することは一般的ですが、「景品」として配置して良いモノは法律で決まっていることをご存知でしたでしょうか。
もし違反してしまうと風俗営業法違反で書類送検されることもあるのです。
今回は、ゲームセンターの景品として設置して良い商品について解説していきたいと思いますので、担当者の方は自分の店舗に当てはまるところがないか注意してみてください!
賞品の提供は原則として禁止!?
100円を支払ってクレーンゲームにチャレンジする…そんな一般的なゲームセンターの光景ですが、実は賞品の提供は風俗営業法で明確に禁止されているのです。
ゲームセンターが「風俗営業」に該当するということは、多くの方がご存知かもしれません。風俗営業法の第二十三条には以下のような記述があります。
第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
ここで言う遊戯とは、クレーンゲームやUFOキャッチャーなどももちろん含まれます。そして、賞品とは現金、ポイント付与といったものだけでなく、物品の提供も当てはまります。
つまり、「賞品」というものは基本的には風俗営業法によって提供が禁止されているのです。
景品は例外的に黙認されている
しかし、風俗営業法で禁止されているとはいえ、クレーンゲームやUFOキャッチャーを設置しているゲームセンターは非常に多いです。これらの店舗は全て法律違反となるのでしょうか?
実はアミューズメントの景品は日本アミューズメント産業協会のガイドラインに従っていれば、例外的に黙認されるという状態になっているのです。
どういうことかというと、「道徳心に反さず、射幸心をそそらない程度の金額の物品であれば、風俗営業法に違反していないと見做す」という例外的な措置が取られているのです。 日本アミューズメント産業協会のガイドラインには、以下のようにあります。
景品として提供する物品は小売価格でおおむね800円以下のものとする。小売価格とは、景品専用に開発された物品を除き、一般市場における価格とする。
なお、景品専用に開発された物品であっても1個あたりの価格はおおむね800円を超えてはならない。
アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン
また、同ガイドラインでは、酒類やタバコ類、性的な物品や公序良俗に反する物品を景品としてはならないとも記載されています。
このガイドラインに違反しない程度の景品であれば、原則として刑事事件とされることはありません。
明らかに800円を超える景品がある理由
しかし、実際のところゲームセンターには明らかに800円を超えるような景品が存在することは皆さんもおわかりの通りです。ゲーム機や音楽プレイヤー、キャラクターのフィギュアなどは誰が見ても800円を超える景品といえるでしょう。
こういった景品は表向きはプリクラ専門店などを装ってゲームセンターを営業していることが多く、「法の抜け穴をついている」ようなみえ方をするかもしれません。
しかし、「遊戯に対して景品を提供してはならない」という法律はゲームセンターのみに適用されるものではなく、どのような看板を掲げていようとも法律違反であることに変わりはありません。
つまり、警察の出方次第ではいつでも書類送検できる状態にあるのですが、クレーンゲームによって破産者や著しい被害を被った人が出ない限りはいちいち刑事事件として取り沙汰していないだけなのです。
しかし違法行為であることに変わりはないため、お客様とのトラブルや破産者が出たタイミングでそのようなことが発覚した場合、間違いなく刑事事件として扱われることになるでしょう。
ガイドラインを守って清廉潔白な営業を
確かに、魅力的な景品を用意することは市場競争の中では有利に働くかもしれません。しかし「競合店も違反しているから…」といって違反してしまうと、大きなリスクを抱えることになってしまいます。
ガイドラインを遵守して健全な営業を心がけるようにしましょう。